【タロウ(30代前半男性)の声】 引きこもりの子を持つ親御さんへ(2022年11月) 

私は両親のもとに生まれてから、なにひとつ不自由なく、大学生になりました。経済的な制約で何かを断念させられることはなかったですし、塾もサッカーも水泳も、やりたいことができました。
ところが20歳の時につまずき、初めて引きこもりました。その時は、小学生のサッカーコーチをやり、やりがいを感じることができ、活力を取り戻しました。
次に職場でつまずいたときは、「この職場を辞めたい」と思いながら仕事を続けました。仕事を始めて3年数ヶ月経ったとき、もう辞めようと思い、専門学校へ逃げるように進みました。専門学校では、理学療法士になるために、一生懸命身体のことや疾患について勉強しました。
次につまずいたのは、専門学校3年のときでした。2年の学年末、不調で、2月・3月は塞ぎがちで、気分は沈んでいました。そして、実習や国家試験対策にストレスを感じ、イライラしていました。その頃の私は、周りからみても様子がおかしかったらしく、「最近変ですよ」と言われたことを覚えています。学校に行けなくなり、精神的に不安定となり、3ヶ月ほど入院しました。
退院後、少しずつ学校へ戻ろうと思っていましたが、学校に行く自信がなく授業に出席できず、親と顔を合わせることもできない状態になりました。「行かなければ」と思うのですが、登校の時間になると、身体が硬直して拒否反応を起こしてしまっていました。
引きこもっている時、引きこもり続けた先には「死」が待っているような気がしていました。引きこもると、私の場合、父や母との関係は悪くなり殺してしまう可能性、また、自分のことが嫌になり自殺してしまう可能性、そんなことが頭に浮かぶようになっていました。精神的に追い込まれていた私はそうなりました。

こどもが引きこもってしまった親御さんへ。
こどものことを思うなら、必要以上に干渉しないでください。引きこもっているお子さんが必要としているのは、美味しい料理と朝日を浴びることです。引きこもっている我が子をなんとかして親の期待通りになるようにと働きかけることは、逆効果だと思います。落ち込んだ人、傷ついた人が立ち直るために要する時間は人それぞれです。引きこもってしまった子の意思を尊重してあげてください。引きこもってしまってどうしようもない子をもつお父さん、お母さんにできることは、美味しい料理を食べさせて元気になる手助けをすること、狂ってしまった生活リズムが改善するように朝になったら、カーテンをあけ、太陽の光が部屋に入るようにしてあげることです。

私は今、八おき塾へ通うかたわらボランティアをしています。フリースクールへ行き、勉強を教えたり、放課後カードゲームを楽しんだりしています。まだ始めたばかりですが、誰かの役に立てている実感があり、とても充実しています。趣味のフットサルもまたやり始めました。ここから、一歩一歩着実に前へ進めるように、八おき塾の塾生として、やりたいことをやっていこうと考えています。

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