【まろにぃ(20代前半男性)のお母さまの声】 息子の不登校・ひきこもりを振り返って(2022年7月) 

高校入学後まもなく不登校になった息子には、私自身、困惑しかありませんでした。彼自身にもおよそ説明のつかない複雑な思いの真意を理解する余裕など私にはなく、やり場のない怒りや憎悪、あるいは自己嫌悪や無力感、絶望といった、怒涛のような思いと諦念の境地が交互に襲ってきた記憶があります。
それでも、こんなことで負けたくない、私自身の人生もこんな気持ちで費やしたくないと自分を奮い起たせ、息子にも、生きていてよかったと思える瞬間を自分の力で作り出してほしい、これまで愛情一杯に育ててきたパワーが体中に蓄えられていることに気付いてほしい、と願っていました。
息子は当時、自分という存在への疑問に苦しんでおり、その問いに対しては、自分だけの考えで答えを見出ださなければ意味がないとの確信を持っていたようです。私が提案するカウンセリングや治療などに抵抗こそしなかったものの、そこで本音を話すつもりも他人の話を聞くつもりもなかったと後に言っていました。

昼夜逆転生活を続けながら進級や卒業の条件をクリアするのには、親子共々、本当に神経をすり減らしましたが、ある朝、私は、ふと思い至りました。これほど一緒にいられる時間はなかなかない、ならば楽しまなければもったいない、と。そう発想の転換をしてからは息子や自分の状況をネガティブにとらえることを止め、近所のカフェのランチに息子を誘ったり、一緒にミュージカルを観に行ったり、あちこち旅行(海外も)もしました。学校には行けなくても、外に広がる楽しい世界に少しでも息子の目が向き、それを共に体感することが何かのきっかけになれば、とも思ったからです。
何が本当の子どもの幸せかを考えるとき、親が思い描く青写真やこうあるべきという思いは、時にリセットすることを迫られます。親も苦しい。でもまずは、ありのままを受け容れ、子どもの存在を「尊重(機嫌をとるとか甘やかすのとは違います)」する。子どもが生きている世界を理解しようと努め、できれば何か共有してみる。そうした親からの歩み寄りが、子どもの心を解きほぐす手助けになることもあると思います。

内面の奥深くに閉じこもり、自分だけの考えで…と頑なだった息子が、その後、八おき塾への同行を快諾し入会を自ら決めたのは、そんな日々の積み重ねと、代表との最初の面談で、それまでとは違う何かを感じたからかも知れません。

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