【T.S(20代前半男性)大学卒業論文】「ひきこもり」の若者の社会復帰支援の在り方(2021年3月) 

目次
はじめに

第1章 日本の「ひきこもり」と「ひきこもり」支援の歴史

第2章 様々な「ひきこもり」支援
2.1 福岡市ひきこもり青年地域生活支援センター
2.2  NPO法人 青少年就労支援ネットワーク静岡
2.3 一般社団法人ひきこもりUX会議
2.4 比較検証

第3章 福岡わかもの就労支援プロジェクトから見る支援モデル
3.1 福岡わかもの就労支援プロジェクト設立までの流れ
3.2 支援の流れ
3.3 「受講生」を支えるコーチング手法
3.4 働くための力の向上のための就労訓練
3.5 イベントによる交流
3.6 若者の声
3.7 支援を受けている「受講生」の実感
3.8 福岡わかもの就労支援プロジェクトについてのまとめ
3.9 鳥巣代表へのインタビュー全文

第4章 考察
4.1 既存の枠組みに帰す支援
4.2 既存の枠組みを変える支援
4.3 まとめ

おわりに

引用文献

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はじめに
厚生労働省によると、「ひきこもり」は「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」と定義されている。
内閣府の『生活状況に関する調査』(2019)によると、回答者3248人中の47人が広義の「ひきこもり」であり、これは全体の1.4%にのぼる。この割合を日本の人口で換算すると、182万人が広義のひきこもりに該当することになる。
「ひきこもり」はその性質上収入を得にくく、その生活費はその家族の収入や社会保障で賄われることが多い。これだけの人数分を養うには多額の資金が必要であり、当人が就労するか死亡するまでは負担が継続していく。負担となるのは生活費だけではない。当人や家族には現状に対する心的負担がのしかかり、医療的措置を受けなくてはならなくなる場合もある。また、「ひきこもり」状態は、当事者にとっても葛藤や不安が付きまとい、負担となりうる。そのため、当人の社会復帰が求められるのである。「ひきこもり」が社会復帰に成功すれば、上記の負担は解消され、健康で文化的な生活を維持しやすくなる。また、当人をサポートしていた家族の肩の荷も下りるだろう。更には、当人への社会保障や医療にかかっていたコストも削減される。このように「ひきこもり」の社会復帰は、あらゆる面において有益であるといえる。
厚生労働省は、都道府県・指定都市に第一次相談窓口となる「ひきこもり地域支援センタ―」を設置するように推進しているほか、精神保健福祉・キャリア形成などの分野でも「ひきこもり」について扱うように手配している。2010年に施行された「子ども・若者育成支援推進法」では、教育、福祉、雇用など各関連分野にわたる施策を総合的に推進しており、その法律に沿って「ニート」「ひきこもり」に対しても各分野が連携して支援する施策が進められている。しかし、先述の通り依然として多くの「ひきこもり」を抱えたままであるのが現状である。
一方で、民間の「ひきこもり」支援事業の中には、「ひきこもり」の社会復帰へ導くのに一定の成果を挙げているものもある。「ひきこもり」の社会復帰には必要な条件が幾つかあり、その条件を満たすことで当人の社会復帰が達成されると考えられる。それが何なのか解明することで、「ひきこもり」支援のひとつのモデルを提示することができ、他の事業所、政府の各関連機関の指標の一つとなるのではないだろうか。また、同時に事業所が抱える課題や問題意識から、支援そのものの現状と課題も見えてくるだろう。指標となるモデル・支援をする上での課題の双方が明らかになることで、官民両方のひきこもり支援が円滑に進み、問題解決への一助になるのではないだろうか。
最後に、本論文の構成について示しておく。本論文は全4章で構成されている。第1章では、日本の「ひきこもり」とその支援について、どのように推移していったかを述べつつ、それらの現状について論じる。第2章では、「ひきこもり」支援を行っている団体をいくつか取り上げ、比較検証しながらその特徴について論じる。第3章では、実際に「ひきこもり」支援を行っている「福岡わかもの就労支援プロジェクト」について、代表へのインタビュー調査や被支援者へのアンケート調査をもとに、その支援モデルや理念について論じる。第4章では、結論として本論文全体を総合した考察を行う。  

第1章 日本の「ひきこもり」と「ひきこもり」支援の歴史

まず、日本の「ひきこもり」と「ひきこもり」支援の歴史について述べる前に、学校制度について触れておく必要がある。 日本では、明治時代に学校制度が導入され、最初は富裕層などの限られた子どもしか就学していなかったが、就学率は徐々に上がっていき、昭和に入る頃には100%近くに達している。第二次世界大戦後、しばらくは学籍があっても、諸々の事情で学校に通えない子どもも多かったが、情勢が安定した1950年頃には、ほとんどの子どもが学校に通うようになる。子どもの教育を受ける権利が担保されるようになったのである。
子どもが学校に通うことが一般的になったことで、新たなニーズが浮かび上がってくる。「学校に行きたくない」というニーズだ。「学校に通うことが当たり前の社会」は、裏を返すと「学校に通わないことが逸脱である社会」ということになる。就学率の低かった頃には、存在しても問題視されることの少なかったニーズが、問題視されるようになったのである。
「学校に行きたくない」というニーズに起因する長期欠席は、「学校嫌い」、「登校拒否」、などと呼ばれ、現在は「不登校」と呼称されることが多い。この「不登校」に付随して用いられるようになったのが「ひきこもり」という言葉である。
学校教育が確立され、尚且つ核家族化の浸透で地域内のつながりが希薄化した社会では、子どもの所属する共同体は家庭・学校に限定されやすくなる。そうした中で、学校という共同体とのつながりが絶たれた場合、居場所となるのは自宅のみとなってしまう。そのため、不登校の結果として、「ひきこもり」が付随してくるのである。 「ひきこもり」という用語は、アメリカ精神医学会がまとめた『DSM-Ⅲ』記載の「social withdrawal」の訳で、1980年代末から90年代にかけて、精神医療の枠組みで拡散されていった(伊藤 2020,p282)。
2000年前後には、事件の背景や要因に「ひきこもり」があるのではないかとの報道がなされ、「ひきこもり」が犯罪リスクと結びつくようになる(伊藤 2020,p282)。
「ひきこもり」に対する問題意識が高まることで、民間の支援機関や家族会などが各地に発足、精神科医やカウンセラーといった専門家も対応に当たるようになる(伊藤 2020,p282)。
政府も、これに呼応して様々な施策を打ち出した。2003年には、『10代・20代を中心とした「ひきこもり」をめぐる地域精神保健活動のガイドライン』を作成。2010年には、『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』を作成したほか、「子ども・若者育成支援推進法」を施行。地域支援拠点としての「ひきこもり地域支援センター」を都道府県・政令指定都市に設置している(伊藤 2020,p282)。
不登校問題から端を発し、教育的・医療的視点のもと解決が図られるようになった「ひきこもり」問題だが、2010年代以降新たな問題が浮上してきた。所謂「50-80問題」である。
50-80とは、親子の年齢を指している。「50歳の『ひきこもり』の子と80歳の親」という構図だ。様々な支援がなされてきた一方で、依然として「ひきこもり」状態から脱することのできていない者は少なくなく、親が高齢になっても扶養が継続している家庭が増加しているのである。
親の扶養が継続している分には、子は生活を脅かされる心配はあまりない。しかし、扶養する親が死亡してしまうと、生活基盤を失ってしまうことになる。外社会との関わりを長期間断絶していた子が、生活保護等の役所手続きを単独で行うのは荷が重く、生活継続のためのあらゆる制度を活用できないまま人生に幕を下ろしてしまう、といったことが現実味を帯びてきつつあるのだ。
これまで若者の問題とされてきた「ひきこもり」は今や幅広い世代を対象としたものとなっており、解決が求められている。  

第2章 様々な「ひきこもり」支援

「ひきこもり」が問題になっていく過程で、様々な団体が彼らへの支援を行っている。ここでは、「ひきこもり」を支援する団体を幾つか紹介する。

2.1 福岡市ひきこもり青年地域生活支援センター 福岡市ひきこもり青年地域生活支援センター(愛称:よかよかルーム)は、NPO法人「JACFA」を委託先として、2010年に開設された福岡市の成人期のひきこもり対策機関である。 支援の主な対象となるのは、20歳以上の「ひきこもり」本人と、その家族である。相談窓口としての役割が主で、電話・対面での相談を受け付けている。実際に外出するのが困難な当事者のために、訪問での面談も受け付けている。また、関連する他機関への紹介も行っている。
施設には、自分の趣味や学習のために自由に過ごせる場所として、フリースペース「とろっこ」が設置されている。自宅以外での居場所を提供することが狙いである。 そして、よかよかルームの特徴的な活動として「Studious」という集まりがある。Studiousとは、「人間がある状況において、生き生きと熱中している幸せな状態のこと」を指した単語で、こうした状態を参加者が感じることを願って名付けられている。当事者をメインの参加者に、よかよかルームのスタッフをファシリテーターに据えて行われる。木曜グループ・料理教室・レディースデーの3つで構成されている。
木曜グループは、テーマトークや認知行動ワークショップなどを通して、「場所や人に馴染み、人を受け入れ自分自身も表現する力を養う」ことを目的としている。コミュニケーションへの不安を抱えている当事者は多く、その不安を取り除くことへのニーズは高い。
料理教室は、料理という共通の体験を通して、「集団の中での協調性・自主性を養い社会に踏み出す準備をする」ことを目的としている。料理そのものではなく、共通の体験を経ることに意味があるのである。
レディースデーは、「女性だけの空間でトークと活動を楽しむ」ことを目的としている。「ひきこもり」当事者は男性が圧倒的に多いため、女性が気軽に集まれる場が求められているのである。
こういった支援がよかよかルームで行われているが、何より特徴的なのは利用費用が掛からないことである。手軽に相談できるのがよかよかルームのような公的機関の強みといえるだろう。
その一方で、民間に委託している以上、市と委託先との間での摺り合わせが必須になってくる。とはいえ、多角的な視点から支援の手を考えることができるというメリットもあるので一長一短だろう。

2.2 NPO法人 青少年就労支援ネットワーク静岡
静岡県内の働きたいけれども働けない人々に、「仕事に就くことを支援するのではなく、働き続けることのできる人生に寄り添う」ことを目的として、2002年に任意団体として発足、2004年にNPO法人の認定を受けている。
当団体は、「静岡方式」と呼ばれる就労支援の仕組みを構築・実践している。「静岡方式」とは、一般市民が地域のボランティアとしてひとりひとりの若者に寄り添い、働き続けることを支える、市民ネットワークを基盤とした伴走型の就労支援の仕組みである。既に600人以上の市民がボランティアに登録している。
被支援者が就労し、継続して働き続けることは、過程に過ぎない。支援を通じて、働く喜びを分かち合える相互扶助の社会を作ることが当団体の目的である。  「ひきこもり」支援の典型例に、居場所論というものがある。孤立して自宅くらいしかいるところがない「ひきこもり」当事者が、自宅以外でも過ごせる環境、つまり「居場所」を提供することで、外部との繋がりを確保するという理論である。
しかし、この居場所論には欠陥が存在する。「居場所」を提供し、そこに「ひきこもり」当事者が通うようになったとして、そこから更に外部へと繋がっていくということまでは担保されていない。いわば「居場所」とは、島のようなものであり、閉じた空間と閉じた空間を往復しているだけになってしまうのである。
就労支援も、職場というある種の居場所を提供する活動であるといえるわけだが、縦割りの組織構成が一般化している現代社会において、やはりここも島として機能する傾向が強い。そのため、「ひきこもり」当事者の居場所づくりという側面をもつ就労支援は、就労そのものを目的とせず、更に外に開いたものでなくてはならなくなるというわけである。
そこで、当団体が試みているのが、社会の再構築、縦割りによる無縁化社会からネットワーク相互作用による相互扶助社会への再構築である。自らが地域の一部となり、地域全体へ繋がりの糸を伸ばすことでネットワークを構築し、相互作用を促すというやり方だ。
ここで、数百人規模の地域ボランティアが活きてくる。地域に暮らす人々が、働きたくても働けない若者と接点を持ち、関わっていくことがボランティアの主な役割だ。具体的には、若者との対話や、就職活動の手伝い、フォローアップミーティング(座談会)への参加、就労体験の場の提供、若者の担当サポーターとして動くなどが挙げられる。
若者との対話は、面談・電話・メールなど様々な媒体で可能。雑談だったり、相談を受けたり、ときには若者を励ましたりと自由にやり取りをする。家族以外にも自分を気にかけて支えてくれる人がいる、という安心感を若者に与え、前進するための活力にしていくことが狙いである。
就職活動の手伝いとしては、一緒に求人検索をしたり、履歴書の書き方を教えたり、面接の練習をしたり、職場見学や就労体験の現場に同行するといったことが挙げられる。一人で就職活動をするのが大変なら複数人でやればいい、というわけである。
フォローアップミーティングは、毎月各地域で行われ、そこで若者の話を聞いたり、励ましたりすることで、彼らが働き続けられるようサポートしている。この集まりは、新規相談者の窓口にもなっており、その場で相談・雑談が可能である。スタッフだけでなく、若者自身が主催して、バーベキューやパーティといった催しごとをすることもある。様々な人たちが集まり、交流して関係性を築いていくことが主たる目的になる。
就労体験の場の提供は、いきなりアルバイトに応募し、働くことに抵抗のある人を対象に行われる。ボランティアやその知り合いの職場などを紹介し、体験してもらう。体験を通して、働くやりがいに気づいてもらうほか、人との関わりに慣れさせるといった狙いがある。
担当サポーターとは、若者の伴走支援のためにつけられるボランティアで、若者一人に対し、一人のサポーターが付く。最初に、若者本人と6ヶ月後の目標を設定し、それに向けてどんなことをしていけばその目標を達成できるのかを、一緒になって考え、行動していく。目標は、生活習慣の改善であったり、就労に向けてのアクションであったりと様々で、各々の目標達成のために、寄り添って半年間サポートしていく。これまで挙げたボランティアの中でも特に大掛かりなものである。
このように、地域をあげてのボランティア活動を通じて、当事者である若者を支援していくのが、青少年就労支援ネットワーク静岡の運動だが、これは何も被支援者だけを救済するものではない。ボランティアもまた、支援を通して、新たな繋がりや生きがいを得ているのである。
運動の中心となるのは、就労支援だが、就労支援をきっかけとして、地域のネットワークを充実させ、相互扶助の社会を構築する。個人の問題に還元されがちな「ひきこもり」や「ニート」を社会的文脈から切り取っている、という点において特徴的な団体であるといえる。
一方で、労働を継続させる動機づけとして、「やりがい」や「楽しさ」といったものを強調しているところがある。勿論そういった動機づけは、働き続けることを促す大きな原動力となりうる。しかし、労働自体が奉仕活動を対価に報酬を得るという構造のもと成り立っている以上、こうした動機づけを求めることは難しいのではないだろうか。労働が楽しかったり、やりがいに満ちたものでなくとも、労働以外のところで活き活きと過ごせることを目指すといった視野もまた、必要ではないだろうか。

2.3 一般社団法人ひきこもりUX会議
ひきこもりUX会議は、不登校、「ひきこもり」、発達障害、セクシュアル・マイノリティの当事者・経験者らによって2014年に立ち上げられた団体である。
「UX」とは、「Unique eXperience(ユニーク・エクスペリエンス)」の略語で、固有の体験という意味である。ひきこもりをはじめ、人とかかわる困難さ、居場所の無さ、「ふつう」や「こうあるべきこと」との乖離といった、様々な背景に起因する「生きづらさ」をUXとして捉え、他者と共有し合うことでこれまでマイナスのものとして考えていた経験を前向きに解釈することができる、というのが「UX」の考え方である。
既成のシステムに馴染まない人を、そのシステムに適応するように矯正するのではなく、そうした人たちの声を集め、誰もが生きやすい社会にしていくことこそがひきこもりUX会議の指針である。
活動は、「場をつくる」・「調査と発信」・「語る」の3つの要素で構成されている。
自助会から、どんな人も参加できるものまで、「UX」を持ち寄る様々なイベントや集まりを企画するのが、「場をつくる」にあたる。具体的には、参加人数400人ほどの大規模な催しや、化粧の講座、女性当事者の集まりなどが挙げられる。
ひきこもりや生きづらさを抱える当事者向けの実態調査を通じて、まだ可視化されていない当事者の存在や声を発信することが、「調査と発信」にあたる。これまで触れられることの少なかった、女性の「ひきこもり」に焦点を当てたものを中心に、調査をまとめたブックレットが発行されている。
ひきこもりUX会議のメンバー自身の「UX」を文字や言葉にして伝えるのが、「語る」にあたる。参加者と運営双方が互いのUXを共有し合うことで、一方的な支援者→被支援者の構図から脱却することができる。
これまでの「ひきこもり」支援は、「ひきこもり」を外に出す、社会に適応させるという視点に立ったものが一般的だったが、そうではなく、適応できないパーソナリティを尊重したうえで、生きづらさを解消していくという視点に立っているのが、ひきこもりUX会議の特徴だといえる。

2.4 比較検証
よかよかルームは、「ひきこもり」当事者とその家族の相談のプラットフォームであると同時に、居場所づくりに力を入れている。
青少年就労支援ネットワーク静岡は、地域のネットワークを活用して当事者の就労をサポートしたうえで、働き続けることができるよう寄り添い続けるという指針のもと活動している。
ひきこもりUX会議は、「ひきこもり」に至る背景にある「生きづらさ」と、その元となるパーソナリティに着目し、既存の社会の枠組みに押し込むのではなく、個々人のパーソナリティを抑圧しない形で居心地のいい社会を目指す当事者活動の面を持っている。
このように、「ひきこもり」支援と一口に言っても、様々な支援の形が存在することがわかる。ここで重要になっていくのは、支援する側とされる側のニーズだろう。
例えば、既存の社会に適応させたいという支援する側ニーズに対して、既存の社会に適応したいという当事者のニーズがあれば、両者のニーズは一致していることになり、社会への適応という目標に向かって共に動くことができるだろう。しかし、両者のニーズが一致しない場合、支援はただの押し付けにしかならず、状況の打開には繋がりにくい。双方のニーズが一致してはじめて道は切り開かれるのである。様々な支援体系があるということは、支援する側のニーズもまた様々だということになる。支援する側・される側双方のニーズが合致するように、個々人に必要な支援を紹介しなくてはならないだろう。
続く第3章では、ここでは取り上げなかった団体について詳細に述べていく。

第3章 福岡わかもの就労支援プロジェクトから見る支援モデル

第2章では、3つの「ひきこもり」支援団体について紹介した。本章では、同じく「ひきこもり」支援を行っている「福岡わかもの就労支援プロジェクト」について詳細に解説していく。
また、本稿執筆のため、当団体に、インタビュー調査及びアンケート調査による取材を行った。インタビュー調査は、当団体の代表である鳥巣正治を対象に行った。インタビューの全文は本章の最後に記載している。アンケート調査は、当団体の支援を受けている者5名を対象に行った。これについても、詳細は後で記す。

3.1 福岡わかもの就労支援プロジェクト設立までの流れ
福岡わかもの就労支援プロジェクトは、2015年に発足した「ひきこもり」当事者の就労支援を主たる活動とした団体である。
代表の鳥巣正治は、当団体を立ち上げたきっかけとして、我が子の不登校を挙げている。鳥巣は息子の不登校に直面したことで、不登校について調べた。そこではじめて「ひきこもり」の若者が多数存在していることを知り、衝撃を受けた。息子の不登校・「ひきこもり」の件はその後解決に向かったが、一方で「将来ある若者を腐らせてはいけない」という思いを強くしていく。
「ひきこもり」の解決とは一体何なのか、考えた結果、「就職してそれを継続できている」ことだとの結論に至る。自分の居場所を見つけ、そこに通い続けることのできる状況、これこそが「ひきこもり」の解決だと考えたわけである。
鳥巣は自身の引き出しの中に、就労支援をやるのに役立つものを3つ見つけた。コーチングの手法・面接官の経験・熱意である。
一つ目のコーチングとは、鳥巣が前職で出会った手法で、職場でうまくいっていない社員との会話に導入したところ、「やる気がないんじゃないか」と思っていた社員がいつの間にか自分から進んでやるようになり、成果を出し始めたという。
二つ目の面接経験とは、前職で学生の就職面接を担当した経験のことである。10年間で約500名の面接をした経験から、面接の受け方や履歴書・職務経歴書の書き方がわかったという。面接官の視点からこれから面接を受ける若者の指導ができるのではないかと考えたのだ。
三つ目の熱意とは、前述の「将来ある若者を腐らせてはいけない」という思いである。強い動機づけこそ支援をやっていくために欠かせないという。
これらが揃ったことを契機に、前職を退職し、当団体を立ち上げたのである。

3.2 支援の流れ
福岡わかもの就労支援プロジェクトは、支援を受ける若者を「受講生」と、支援の終了を「卒業」と呼び、塾や学校のようなものとして扱われている。塾や学校では、指定されたカリキュラムを履修し、全課程を修了することが受講生の目的となる。では、当団体における「受講生」はどんなカリキュラムを受け、「卒業」していくのだろうか。
まず、期間は6ヶ月だ。この6ヶ月の中で、「受講生」は現状を改善するために動いていくこととなる。最初に、「受講生」自身が、6ヶ月後どうなりたいかという目標を明確に設定する。就労・就学など、何かしらの機関に所属してそこに通うようなものが目標に設定されやすい。その後は6ヶ月間設定した目標に向かって進んでいく、というのがカリキュラムになる。
しかし、ただ漠然と目標に向かって進むと言われても、どうしていいかわからなくなってしまう。そこで重要になっていくのが短期目標の設定である。6ヶ月後のなりたい自分という長期目標を達成するための通過点を短期目標として設定していくのだ。例えば、外出する習慣を身につける、職場体験をする、実際にアルバイトに応募する、正規雇用求人に応募するといった具合だ。今あげた例は、かなり大雑把なものだが、実際はもっと小刻みに設定していく。確実に達成できるような小さな目標をひとつずつ達成させるのである。短期目標を順々に達成していき、最終的に長期目標を達成するといった流れになる。
階段を一段一段上っていくのをイメージして欲しい。高い地点に辿り着こうとした場合、ジャンプしてそこまで跳んでいくというのは非常に難しいが、階段を上って向かうのであればそれほど難しくなくなる。
このように、長期目標と短期目標を立て、段階的に長期目標に向かって進むことは、目標達成の難易度を下げる効果があるが、これにはもうひとつメリットがある。短期目標の達成は、成功体験と承認をもたらす。「ひきこもり」状態が長期化すればするほど、当事者は自己肯定感や自信を失っていく傾向にある。成功体験がほとんど得られないことや、社会規範と自己の矛盾に晒されることなどが原因だ。そうして失っていった自己肯定感や自信を、短期目標を達成するたびに獲得していくのである。これらの自尊感情の高まりは歩みを進めていくうえでの大きな原動力となる。
このようにして、「受講生」は、6か月後の「卒業」に向け、動いていくこととなる。

3.3 「受講生」を支えるコーチング手法
目標を設定し、動いていくのは「受講生」自身だが、これは彼らに全て丸投げするということではない。「コーチ」と呼ばれるスタッフが、「受講生」一人に対し一人付き、彼らの歩みをサポートしていく。面談を通じて「受講生」のニーズを引き出し、目標設定や具体的な行動内容などを一緒に話し合ったり、「受講生」の活動に同伴したりするのである。
スポーツ選手やアイドル歌手にコーチが付くように、「受講生」に「コーチ」を付け、伴走していくのがコーチングと呼ばれる手法だ。「あり方」・「信念」・「姿勢」・「成果」の4要素からなる。
「あり方」とは、相手に対して、「愛情」・「信頼」・「尊重」をもって接することを指す。特に、「こうあるべき」ではなく、相手の考えを尊重することが重要となる。このことについて、鳥巣は以下のように述べている。

一番違うのは「受け止める」。例えばね、自分の子どもが大学辞めたいと、言ってきたとする。その時に、普通の僕だったら、「えっ大学辞めるの。何を言っているの。お前大学行かなかったら学歴高卒になるよ。」って言ってしまいそう。これ自分の意見言っているわけだね。だから、息子の価値観と僕の価値観じゃ違います。で、その違う価値観を押し付けようとしているわけだね。
ところが、コーチングを勉強した後の僕だったら、同じように息子が大学辞めたいって思っているって言ってきたら、「あっそう」って言う。「何かあったの。」って。その後話を聞いて、「そっかぁ、そんなことがあったのね。」ってする。そこが一番大きく違う。
価値観は人それぞれで、一致することもあれば、食い違うこともある。しかし、食い違ったからといって、相手の考えを否定するのではなく、まずは尊重するというあり方がコーチングには欠かせない。

「信念」は、「人は育とうとする生き物だ」・「人は自分の中に答えを持っている」・「人はそれぞれ」の三要素からなる。
一つ目の「人は育とうとする生き物だ」は、人は誰でも成長したいと思っているという考えが基準となる。成長しないのは、それを阻害する何かがあるからで、それを取り除けばいいのだという。鳥巣は次のように述べている。

人間は育とうとする生き物。例えばね、会社の中にいたら、サボろうとしている子もいるわけ。そしたら人間常識で考えたら、普通それをそのまま受け取ってしまうわけ。要は「お前やる気ないだろ。」って。でもそうじゃなくって、育とうとしている、成長する生き物だと考えたら、何かが邪魔しているのではないかと、その邪魔しているやつ、例えば、不安とか心配とかね、自信がないとか色んなマイナスのことがあるわけよ。で、それを取っ払ってやる。そうしたら、すぐみんな動けるようになる。

やりたいことを邪魔しているマイナスのものを取り除くことで、自発的に動くことが可能になるのである。
二つ目の「人は自分の中に答えを持っている」は、相手のニーズを引き出すための考え方である。「~したらどうか」というアドバイスは短期的には効果的かもしれないが、そこに当人の意志は介在しない。当人の意志、ニーズは自身の中に眠っており、それを引き出したうえで支援すればいいのである。
三つ目の「人はそれぞれ」とは、違いを受け入れ、楽しむためのものである。
支援する側が信じるままの姿に、被支援者は成長する、というのが「信念」という要素の根本的な考え方になる。
「姿勢」は、「質問」・「傾聴」・「承認」を柱としたコミュニケーションの姿勢を指す。相手の考えを引き出すような質問を投げかけ、出てきた考えに対し、耳を傾け、受け止めることが大事なのである。
「成果」は、相手の自立そのもので、それこそが究極の目的となる。
これら四つの要素が揃ってはじめてコーチングが機能するのである。
「コーチ」の役割を端的に言うならば、「『受講生』の力を引き出す」となるだろう。「受講生」の内側に秘めたエネルギーを解放するのである。そのためには、「受講生」に努力させることが必要だ。努力して結果が出れば、それは「受講生」の自信になる。では、努力して結果が出なかったら、失敗となるのか。そんなことはない。たとえ結果が出なくても、それは経験として本人の糧となる。
鳥巣は「受講生」の努力や挑戦を煽る魔法の言葉として、「できそう?」というフレーズを挙げている。

魔法の言葉がある。「できそう?」って言葉。できるような話を、最初に実を言うとします。例えば、魚の腹を捌くっていうのだったら、まず見せるわけ。見ていたらなんとなく「俺でもできるかもしれない。」って思うでしょ。そこで、「できそう?」って聞いてみたら、「ちょっとやらせてください。」って言葉が返ってくる。それが魔法の言葉。

手本を示し、やり方を具体的に思い浮かべさせ、「自分でもできるかもしれない」と思わせたうえで、「できそう?」と問いかけることで、努力や挑戦をスムーズに促すことができるのである。
反対に、努力や挑戦を阻害するフレーズとして、「無理しなくていいよ」というフレーズがあると、鳥巣は述べている。

で、それの逆の言葉が、「無理せんでもいいよ。」って言葉。で、俺は無理をしろと、しきらんとやったら、できるようになるしかないでしょと言う。無理しないでできるやつがあるわけがない。ましてや家にひきこもっていた子でしょ。そしたら、普通の人よりも遅れていることになるよね。そしたら努力するしかないって思うし、努力って難しく思えるけど、難しく考えるから難しくなるのであって、やってみればいいだけだって思うのね。世の中難しいことなんてそんなに落ちてないから、大概のことはやってみればいいだけで。

「無理しなくていい」と言われたら、人は無理をしなくなる。無理をしなくなるというのは、自分にできる範囲内で行動するということで、新しい技術を得ることはできない。多少無理をして努力をすることではじめて成長できるのである。
このように、目標に向かって進もうとする「受講生」に「コーチ」として寄り添い、「受講生」自身の力で一歩一歩前進できるようサポートしていくのが、福岡若者就労支援プロジェクトにおけるコーチングである。

3.4 働くための力の向上のための就労訓練
福岡わかもの就労支援プロジェクトは、「就労支援」の名を冠しているだけあって、働くための力を養うことに重きを置いている。他人の話を聴いたり、自分の意見を論理立ててわかりやすく言ったり、意思疎通や報連相を行ったりする「会話力」や、少々のことでは折れず、何に対しても一生懸命に取り組む「精神力」、仕事内容に関する「専門知識」などがこれにあたる。「専門知識」に関しては、実際に就職してから身につけていくケースが多いため、当団体では主に、「受講生」の「会話力」と「精神力」を鍛えている。
働き続けるためには、働くための力が充実している必要がある。では、働くための力はどのようにして向上させればいいのか。それは、実際に働くことである。働く中でトライ&エラーを繰り返すことで働くための力を向上させるのである。しかし、働くための力が未熟なまま雇用してくれるほど余裕のある職場はそうそうないため、就職前に何かしらの働く経験を通じて、ある程度働くための力を向上させておく必要がある。そこで、当団体が提供しているのが、就労訓練の場である。
就労訓練は、自力でアルバイトができる状態まで「受講生」の「会話力」・「精神力」を向上させることを目的としている。訓練内容は、出荷作業・昼食・歓談の三つだ。
出荷作業は、「受講生」二人と「コーチ」二人が共同で注文に従ってDVDと資料を袋詰めし、配送のための伝票に記入する作業である。単純作業だが、ミスは許されない。程よい緊張感の中で、集中力を鍛えることができるほか、わからないところを他の人に訊く癖をつけて報連相を行えるように促す効果がある。最終チェックは「コーチ」が行うため、「受講生」がミスをしても、責任を負わずに済む。そのため、安心して失敗することができる。作業時間は1時間程度なので、負担も少なく、まさに小さなステップとしては最適といえる。
出荷作業が終わると、昼食の準備に移る。献立を考えるところから、買い出し、調理、片付けまでの一連を「受講生」主導で行っていく。昼食の準備を通じて必然的にコミュニケーションが生まれ、「会話力」の向上につながるほか、自炊のスキルの向上も図ることができる。
昼食を終え、片付けを済ましたら、全員で歓談する。歓談の中で「受講生」・「コーチ」全員が順番で1分間スピーチを行うようになっており、聴く力や伝達力を向上させていくことができる。
就労訓練は、「受講生」・「コーチ」共にシフト制で運営されており、決まった時間に決まった場所に行く習慣を身につけ、生活にメリハリをつけさせるといった狙いがあるほか、作業場そのものが「受講生」の居場所となるようにも取り計らわれている。訓練所という厳しい空間であると同時に、そこに通うのが苦でない、むしろ楽しいと思えるような空間にもなっている。
作業場での就労訓練は、「受講生」の働くための力を向上させるのに役立っているのである。

3.5 イベントによる交流
福岡わかもの就労支援プロジェクトでは、月に一度、「受講生」と「コーチ」たちが集うイベントが開催されている。内容は食事会やボーリング、山登りなど様々だが、「受講生」と「コーチ」が多数集まるという点だけは共通している。普段は、「受講生」と担当の「コーチ」の1対1で完結している関係を一気に広げることのできる場だ。「受講生」は、「ひきこもり」体験を共有する仲間との交流を通して刺激を受けることができる。
また、イベントの幹事は「受講生」が持ち回りで行うこととなっている。小規模ではあるが、企画の運営は、本人にとっていい経験になる。
これも「受講生」の居場所づくりの一環である。

3.6 若者の声
「受講生」は支援を受けて三ヶ月経つと、「若者の声」という作文の執筆を課される。支援を受け始めてからの三ヶ月で何が変わったか、これが主題となる。分量は1200文字。
以下のは、「卒業生」の残した「若者の声」のひとつだ。

入塾し早くも3ヶ月が過ぎようとしています。入塾する前は仕事を1年間していましたが上司からのパワハラが原因で仕事を辞め、その後2年間はハローワークに通いはするが仕事やアルバイトなど一切できませんでした。心情として働かないといけないという気持ちはありましたが、またパワハラにあうのではないかなど不安なことを考えてしまい中々行動に移すことができませんでした。
福岡わかもの就労支援プロジェクトは母親の紹介で入塾する1年前に知りましたが1年前の私はまだ相談会へ参加する自信がなく、一歩踏み出すことができませんでした。しかし実際に相談会へ参加して話をしてみると一人では一歩踏み出すまでに時間がかかるが、誰かサポートをしてくれる人がいれば不安感が緩和され、自分が変われるのではないかと思い入塾する決心がつきました。
入塾後、週1度のコーチングを受けながら月1度のイベントを積極的に参加するようになりました。コーチングではコーチからアルバイトをするよう勧められましたが不安と自信の喪失によりすぐにアルバイトへと行動には移せませんでした。コーチと話し合い、先ず1ケ月はボランティア活動から始めていくのはどうかとなり公園や天神周辺のごみ拾いのボランティアから始めました。最初の2週間はボランティアへ行けませんでしたが、その後は1ケ月ボランティア活動を続けることができました。またボランティア活動と同時に積極的に月1度のイベントへ参加し、初めて参加したイベントで突然、幹事代理をしました。初めて参加するイベント、しかも出会ったことも顔を見たこともない方々と会うだけでも緊張するというのに幹事という役割をやらないといけないと思うと不安と緊張で正直行きたいとは思いませんでした。しかし、実際に参加してみると皆話しやすく、人と接する事やコミュニケーションをとることでいい刺激になったと思いました。1ケ月間ボランティア活動を続けたこととイベントに参加していくうちに不思議と少し自信がつき、次のステップとしてアルバイトをやること、コーチングではパワハラの原因やどうすればパワハラを防ぐか自分で考えアドバイスをもらっています。 Y.S(30代後半男性)の声より抜粋。

「ひきこもり」状態に至った背景から始まり、支援を受けるに至った過程、その後、どのように変わっていったのかについて、具体的かつ分かりやすくまとめられている。
三か月前の自分と比較することで、自分がどれだけ成長したのかを可視化することができ、自信に繋がるだけでなく、残りの三ヶ月に向けての指針を明確化させることができる。また、まとまった文章を仕上げるという経験自体が本人の糧となる。
書きあがった「若者の声」は、匿名の形でホームページ上に掲載され、誰でも閲覧可能な状態になる。他の「受講生」は、「若者の声」からヒントを得ることができ、「若者の声」という実際に支援を受けた人の体験談は、広報としても役立つ。
「若者の声」は、書き手本人だけでなく、当団体に関わる人々に還元されるシステムなのである。

3.7 支援を受けている「受講生」の実感
現在、支援を受けている「受講生」5人に対して、Googleフォーム上でアンケート調査を行った。質問と回答は以下の通りである。






質問1・2では、「受講生」の年齢とひきこもっていた期間について訊ねた。5人全員が20代であり、5年以上「ひきこもり」状態にある者はいなかった。
質問3・4では、「ひきこもり」状態になったきっかけについて訊ねた。対人関係での躓きが理由として多く見られた。
質問5・6では、福岡わかもの就労支援プロジェクトについて知ったきっかけについて訊ねた。新聞やインターネットといったメディアから直接知った者が2名いる一方で、家族からの紹介で知った者は3名いた。当事者家族が問題解決のために動いていることが伺える。
質問7では、支援を受けて事態が好転したか訊ねた。ほとんどが好転したと感じている。
質問8では、現在受けている支援に対する満足度について訊ねた。全員が非常に、或いは比較的満足していると回答している。
質問10では、今最も求めているものについて訊ねた。就職先と友人に二極化しており、この2つへのニーズが高いことが伺える。
全体を通して、支援そのものに好印象を抱いていることがわかる。

3.8 福岡わかもの就労支援プロジェクトについてのまとめ
福岡わかもの就労支援プロジェクトは、コーチングの手法を中心に据え、「ひきこもり」当事者に寄り添いながら、当事者自身が設定した目標の達成に向かって伴走していく支援方法をとっており、それに並行して、就労訓練や居場所づくりにも積極的に力を入れている。
6ヶ月という短期間での目標達成を掲げているところも特徴的な点だろう。
効果的な脱「ひきこもり」支援の一つと言えるのではないだろうか。

3.9 鳥巣代表へのインタビュー全文
筆者
「ひきこもり」状態にある若者が社会復帰に至るまでの、どういった経緯・条件があるか、そう言ったことを中心に聴いていきたいと思います。
福岡わかもの就労支援プロジェクトだと、コーチングという手法に力を入れていると伺っていますが、具体的にはどういった手法なのでしょうか。普通とは何が違うのでしょうか。

鳥巣
一番違うのは「受け止める」。例えばね、自分の子どもが大学辞めたいと、言ってきたとする。その時に、普通の僕だったら、「えっ大学辞めるの。何を言っているの。お前大学行かなかったら学歴高卒になるよ。」って言ってしまいそう。これ自分の意見言っているわけだね。だから、息子の価値観と僕の価値観じゃ違います。で、その違う価値観を押し付けようとしているわけだね。
ところが、コーチングを勉強した後の僕だったら、同じように息子が大学辞めたいって思っているって言ってきたら、「あっそう」って言う。「何かあったの。」って。その後話を聞いて、「そっかぁ、そんなことがあったのね。」ってする。そこが一番大きく違う。 人間は育とうとする生き物。例えばね、会社の中にいたら、サボろうとしている子もいるわけ。そしたら人間常識で考えたら、普通それをそのまま受け取ってしまうわけ。要は「お前やる気ないだろ。」って。でもそうじゃなくって、育とうとしている、成長する生き物だと考えたら、何かが邪魔しているのではないかと、その邪魔しているやつ、例えば、不安とか心配とかね、自信がないとか色んなマイナスのことがあるわけよ。で、それを取っ払ってやる。そうしたら、すぐみんな動けるようになる。
一番顕著だったのは、20歳くらいの女の子が、子宮頸がんワクチンを打って、右半身が動かなくなった(これはあくまでも自己申告であり、子宮頸がんワクチンと麻痺との因果関係は不明)。それが原因で通信制高校に通うようになった。(高校を)卒業してからウチに来たんやけども、中々履歴書を出せなかった。
出したくないのかなって思って見ていたけども、よくよく聴いていたら、自分のことが好きじゃない。普通の子が普通に学校行って卒業して、でも自分は普通のところに行けなくって、普通じゃないところに行って卒業した。そういう自分が好きじゃなくって、それがずっと胸につっかかっている。それをちゃんと紐解いて、「頑張ったけど行けなかったわけでしょ。サボって行けなかったわけじゃないでしょ。子宮頸がんワクチンの影響で行けなかっただけ。あなたは頑張りました。頑張ったけども、結果としては、通信制に替わらざるを得なかった。」という風に紐解いてあげると簡単に履歴書が書ける。頑張ったということと結果は別物ということをハッキリさせた。

筆者
実際、受講生を何十人か受け持ってきていらっしゃいますが、年齢・性別の分布はどうなっていますか。

鳥巣
年齢は22~39。全部で今14人いて、14人のうち女性が2人。

筆者
女性は増えてきましたか。

鳥巣
まぁ何となく。

筆者
最初始めたときは、あまり女性は来なかったのですか。

鳥巣
うん、その通り。

筆者
何で女性が来ないのだろうって思いますか。

鳥巣
女の子は、家のお手伝いを小さいころにやっていて、社交性があるっていうか、男と比較して。そもそも特性としてひきこもりにくい。
もうひとつ、もしひきこもっているとしても、家の手伝い、同じように、○○ちゃんとかそうね、食事の用意とかしているものだから、まぁそれでもいいかなって。

筆者
役割が与えられている。

鳥巣
うん。そんな風に親が思ってこんなところに連れてこない。そういうのがあるのではないのかな。

筆者
コーチングをはじめ、色々な手法で「ひきこもり」の若者の背中を押してこられているわけですけども、これやってみたら効果的だったなとか、逆にこれあまりうまくいかなかったなとか、そういうことはありますか。

鳥巣
魔法の言葉がある。「できそう?」って言葉。できるような話を、最初に実を言うとします。例えば、魚の腹を捌くっていうのだったら、まず見せるわけ。見ていたらなんとなく「俺でもできるかもしれない。」って思うでしょ。そこで、「できそう?」って聞いてみたら、「ちょっとやらせてください。」って言葉が返ってくる。それが魔法の言葉。
で、それの逆の言葉が、「無理せんでもいいよ。」って言葉。で、俺は無理をしろと、しきらんとやったら、できるようになるしかないでしょと言う。無理しないでできるやつがあるわけがない。ましてや家にひきこもっていた子でしょ。そしたら、普通の人よりも遅れていることになるよね。そしたら努力するしかないって思うし、努力って難しく思えるけど、難しく考えるから難しくなるのであって、やってみればいいだけだって思うのね。世の中難しいことなんてそんなに落ちてないから、大概のことはやってみればいいだけで。
例えばこの頃カーテンを洗っていたけどさ、外して取り付ける、やってみれば誰だってできる。でもやらなかったら、「カーテンどうやって取り付けようか。」ってなるじゃない。そんなレベルと思うけどね。やってみてと提案する。別に失敗していいからって言う。失敗に慣れさせるの。
コーチの心得3か条っていうのがあって。そのひとつに、「何よりもまず自分が挑戦する。それから受講生を挑戦させる。」で、同じことなんかするなと。例えばご飯のメニューひとつとっても、何か一つ変える。味付けや具材を変えてみるとか。そういう風に、少し変えることを当たり前みたいにするわけ。やったことがないことをやってみる、これを全部当たり前にしていく。で、挑戦することを怖がらない、楽しむ心を作っていく。そうしたらみんな失敗しても「えへへ」で済むようになる。いい意味で図太くなれる。

筆者
3か条のうち、2番目の「社会でやっていける人を育てる」の項目で、「遅刻・休みは論外」とありますが、ある意味当たり前なのだけどもそれができない人がいるから書いてあると考えられます。どのようにして遅刻・休みを減らすようにサポートしていますか。

鳥巣
ひとつはやっぱり楽しくしないと。行きたい、って思えるようにする。だから僕はここの中では笑っていることが多いと思う。僕がしかめっ面をしていたら、みんな来たくなくなるでしょ。だからなるべく笑っている。で、そういう来て楽しいところを作っていく。
それから、入口とキッチンの二部屋、あそこは若者が勝手に使っていい場所にしようと思うのよ。で、14時までみんなでお話したら、そのあとみんな帰っているわけよね。で、家に帰りたくない人もいるはずなんよ。そしたらそこで勝手に時間つぶしていいよって言える。そういう部屋にしようと思っている。そんな風に行きたいっていうようなやつがひとつ。   
あとはやっぱり遅刻・休みっていうのは、誰かが迷惑するじゃない。それもちゃんとはっきりさせていく。これは厳しめの方の話になる。今日は○○ちゃんが休んでいるでしょ。そしたら俺からコーチには、朝から早速ちゃんと二人で話すように指示した。そんな簡単に休むっていうような話じゃない。
厳しめな話と来やすい場所のふたつ。Wi-Fiとかも来やすい場所づくりのひとつ。本を置いていくなんていうのもそう。やっぱり来いって言ったって来ないのだもの。来たくなるような場所にしないといけない。お魚取り寄せたりしたのもその一環。加工が必要なやつを買ってきてみんなで加工して食べるとか。そんな風にいろんなところに仕掛けを入れてって感じ。

筆者
他の団体と比較して優れているところや、逆に他の団体から見習いたいところ等ありますか。

鳥巣
他所の団体はほとんど見てない。というのも自分たちのやっていることで一生懸命だったから。(自分が働いていた)会社の中で、若い子が上手くいかなくなっていることが出て来たりしていたわけ。その対応をずっとしてきていたわけだから一応自信はあった。何十年もやっているわけだからね。
そうは言いながらも一か所だけ参考にしたのは、静岡のNPO法人。そこだけは参考にした。就労支援を真面目にやっているところだったから。(自分は)就労支援はやったことがなかった、若者支援はやったことあったけども。残りの8割くらいは元職場流。
サポートステーションなどの行政機関は無料なのに、どうして有料なのだって言われたこともある。民間なのにお金取るなって言われても困るよね。サポートステーションやよかよかルームは民間に委託しているのだけど、単に行政からお金がでているから個人負担がないだけだよ。うちはそれなりに目立っているけど、それはこちらが頑張ってきたからであって、悪く言われる所以はない。出る杭は打たれるけども、打たれないくらい突き抜けようと思っております。

筆者
具体的に自分たちの活動を周知させるうえで、行っていることはありますか。

鳥巣
メディアに取り上げてもらうとか、ホームページに力を入れるとかかな。あと、「若者の声」には力を入れている。支援の結果そのものだから。隅から隅までチェックしてから、言い回しがわかりにくいところはなおさせているよ。こう言いたいのか、ああ言いたいのか、って訊きながらしよったけどね。その執筆経験自体が本人の糧にもなる。その辺のことは会社の中で気づいたのよ。パワーポイントの作り方とか学校じゃ何にも教えてもらえないのに、ここですごく勉強になったって言われたことがあったり、自分の気持ちが整理できたっていう人が多かったり。受講生もそう言っている。三か月前と何が違うかっていうのがわかりました、って。本人のため・次の受講生のため・うちの宣伝活動、3つくらい利点があるのよね。
そういうのも元職場流。新人が入ったら、3か月したらそういう資料を作るの。パワーポイントと論文と。で、三か月こうだったって書くじゃない。上手くいっている人は、こんなに変わりましたって書くわけね。上手くいってない人は、何も変わりませんってなるのよね。で、お互いに発表を聞いたり資料を見たりしながら、励みにするわけよね。それと同じような効果を狙っている。
このプロジェクトってね、結局俺の会社員三十数年の生活で得た知識とか技術とかの集大成なんよね。だから定年退職したら、みんな若者支援すればいいのではないかって思うよ。とはいっても、元職場独自の取り組みというのはあったから、職場で得たノウハウがそのまま支援に活かせるとは限らないのだけどね。「会社の若者を育てること=会社が存続すること」だと思っている。だって、上の世代が辞めていったら下の世代でやっていくしかないのだから。
これってウチでやっていることにも言える。「ウチの若者を育てること=日本が長く頑張れること」なんだって。例えば、ここを卒業していった若者が数十年後に退職してから、ここを手伝いにきたり、職場の雇用を生んだりできるじゃない。下の人間を育てることはすごくいいこと。物事を循環させられる。

筆者
行政との連携についてはどう思われますか。

鳥巣
行政に求めるものもない。強いてあげるなら、行政サービスって公立高校みたいなものなのよ。大きな目の網ですくって、そこにかかった子たちは助かるのよ。で、その目が粗いものだから、落ちる子がいっぱいいる。で、その子たちを僕らは拾っている、って感じなのよね。色んなところでうまくいかなかった場合を考えなきゃいけないわけ。その辺の連携が、全くできてない。
よく似た仕事をしている人の集まりが必要。ではあるのだけど、自分はあんまり興味がない。僕らは、4,5年しかやってないけども、「ひきこもり」から回復させるノウハウをいっぱい持っていると思っているわけ。そうなると残るのは、一緒に頑張っていこうねって仲間意識みたいなものくらいしか残らない。

筆者
では、逆に同業者向けにこちらから何か提供しているってことはありますか。

鳥巣
講演はいっぱいやっている。ノウハウどんどん持って行ってくださいって具合。支援をやっている人って、大学院出て精神保健福祉士の資格を取る人が多いの。
で、俺からしたら、そんな資格を持っているからってそうそう「ひきこもり」の若者は動かないって思うよ。彼らを動かすためには、飴であったり鞭であったりいろんなものがいる。信じることもいるし、たくさんいるのね。それって、直感なり経験なりが必要なのね。大事なのは目配り・気配り。受講生がやっていることにあれこれ口出ししない。ただただ傍で見守る。そうすれば何か成功したとき、「俺でもできる。」ってなる。

筆者
そもそもの話になるのですけども、どうして鳥巣さんはこの活動をやってみようと考えましたか。

鳥巣
ひとつは、ひきこもっている若者がいっぱいいるっていうことを知ってしまったことね。で、結果としてその子たちを助けるにはどうしたらいいのだろうってことで辿り着いたのが就労支援だったのね。
じゃあ就労支援をするのに何か役に立ちそうなことはないのかなって、自分が会社員だった頃の引き出しを棚卸ししたの。そして出てきたもののひとつがコーチング。二つ目が面接。面接官をしてきたから、どうやれば受かるかというのがなんとなくわかる。で、三つ目が、将来のある若者を腐らせてはいけないという思い。この三つが揃ってするしかないよなって。そうなって始めた。

筆者
「ひきこもり」が社会に出ていくためにこれが大事だなってキーワードはありますか。

鳥巣
一人で頑張らない、ってことかなぁ。一度落ちていってしまっているから、一人では上がれない。それが一番大きいような気がする。たぶん、長くひきこもっている人、一年以上ひきこもっている人っていうのは、一人で上がっていくことはできないのではないのかなぁ。だから、誰かを頼っていい、とかそんなところが一番重要じゃないのかな。その誰かというのは親じゃない。

第4章 考察

第2章・第3章では、実際に「ひきこもり」支援を行っている団体について複数挙げ、まとめた。
本章では、これらを踏まえた上で、「ひきこもり」の若者の社会復帰支援の在り方について論じていく。

4.1 既存の枠組みに帰す支援
福岡わかもの就労支援プロジェクト・青少年就労支援ネットワーク静岡は、「ひきこもり」の若者の就労を主な目標にしていた。就労することで、社会の枠組みに参与することができ、自立することが可能となる。
両社とも動く主体を若者自身としながらも、伴走しながらサポートするというスタンスを取っている。これはただ与える・与えられるといった形の支援とは異なり、支援を受ける若者自身が成功体験を通じて自己肯定感や自信を回復させることにつながる。ただ、仕事や居場所を与えられるだけでは、自己肯定感や自信は回復しない。このままでは、たとえ仕事に就いたとしても働き続けるための原動力を保つのが困難となる。若者が社会に出て一人だけで動けるようになるには、成功体験を積ませる必要があるのだ。
そのために役立つのが、長期目標と短期目標の設定になる。「ひきこもり」の若者の社会復帰支援の前提に立てば、長期目標は「社会に出て自立すること」となる。そのために必要なものを短期目標として段階的に設定していけばいい。
短期目標は、多くかつ一つ一つの達成にある程度の困難を要するように設定するといい。長期目標を階段の終着点だとすると、短期目標は階段の一段一段であるといえる。一段が高すぎると上ることはできず、かといって低すぎると道のりが長くなってしまい、終着点を見据えることが難しくなる。現時点で達成可能なギリギリのラインに短期目標を設定することが、確かな達成感を担保しつつ着実に長期目標へと進んでいく助けとなる。
伴走者が目標設定を若者と一緒になって行い、ときには目標達成の補助に回ること、これが「ひきこもり」の若者の社会復帰支援のあるべき姿の一つではないだろうか。

4.2 既存の枠組みを変える支援
これまでの支援の主流は、「ひきこもり」の若者を社会に戻し、適応させることが目的とされていた。しかし、そもそもの大前提として、「ひきこもり」の若者を既存の枠組みに帰すこと自体、無理があるのではないか。
社会に適応できなかった結果として、「ひきこもり」状態になった若者にとって、社会とは生きづらい環境に他ならない。「生きづらさ」を抱かせる要因となった個人の特性を抑圧・矯正してまで再び社会に放つ意義は果たしてあるのだろうか。
例えば、他者とのコミュニケーションが苦手で「ひきこもり」状態になった若者がいるとする。そこには「他者とのコミュニケーションを強いる社会」と「社会の要求に応えられない若者」と対立がある。
この溝を埋める方法は二通りだ。一つは、若者のコミュニケーション能力を鍛えて社会に適応させるというやり方である。これは、これまでの支援のやり方と一致する。もう一つは、社会そのものを他者とのコミュニケーションが必須ではないものにするというやり方である。社会が変われば、それに付随してくる「生きづらさ」は解消される。他者とのコミュニケーションが苦手でも生きていくことができるようになる。「ひきこもり」の若者を既存の枠組みにかえすのではなく、枠組みそのものを彼らが「生きづらさ」を抱えないものに変えていくのである。
ひきこもりUX会議はこうした視点に立った支援団体と言える。「ひきこもり」とその背景にある「生きづらさ」に焦点を当て、「生きづらさ」が解消された社会の実現に向けて働きかけているのである。
もちろん、個人を変えていくことよりも、社会を変えていく方がはるかに難しい。しかし、だからといって社会を変える努力を怠るわけにはいかないのではないだろうか。
第二次世界大戦以前の日本では、女性の参政権が認められていなかった。これは政治に参加したい女性が「生きづらさ」を抱えていたといえる。しかし、戦後、女性の参政権が認められるようになり、彼女たちの「生きづらさ」は解消されている。既存の枠組みを変えることで「生きづらさ」を解消した例と言える。  女性が「生きづらさ」を抱えていた社会の枠組みが変わった歴史から鑑みるに、「ひきこもり」の背景にある「生きづらさ」が解消された社会を目指していくことは、非現実的とは言えないのではないだろうか。
「ひきこもり」当事者の人数が増え続け、50-80問題が浮上するほどには「ひきこもり」状態の長期化が起きている現状は、既存の社会枠組みが機能しなくなっていると言えるのではないか。このままでは、「ひきこもり」当事者たちを既存の枠組みに適応させていったとして、また新たな「ひきこもり」当事者が出てくるいたちごっこになるのではないだろうか。
「ひきこもり」の若者を既存の枠組みに帰すのではなく、「ひきこもり」の若者が「生きづらさ」を抱えずに暮らせるように枠組みを修正していく、そういった支援もまた必要なのではないだろうか。
「ひきこもり」の若者がひきこもらずに済むような、或いはひきこもっていても安心して暮らせるような社会を創っていく必要がある。

4.3 まとめ
これからの「ひきこもり」の若者の社会復帰支援の在り方は、既存の枠組みに帰すものと既存の枠組みを変えるもののふたつに分けられる。
前者は、若者が就労という最終目標に向かって段階的に進んでいくのを伴走者がサポートしていく支援の在り方である。
後者は、社会の枠組みそのものを「ひきこもり」の若者が「生きづらさ」を抱えずに暮らせるようなものに変えていく支援の在り方である。
重要になっていくのが後者だが、目標とする社会の実現までには時間がかかることが予想される。前者の支援を継続しながらも、後者の支援を進めていくのが現段階でできることではないだろうか。  

おわりに
本論文では、「ひきこもり」とその支援について過去から現在まで参照した。
その結果分かったのが、これまでの支援は既存の枠組みに適応できる「ひきこもり」当事者を矯正し、社会に戻すというやり方が主だったということだ。
そこで、これからの支援の在り方として、社会そのものを「ひきこもり」当事者に合ったものに変えていくような支援の必要性を述べた。
しかし、必要性を述べるまでにとどまっており、具体的な策を講じるまでには至らなかった。
これについては、今後の課題にするということで本論文を締めくくる。

引用文献・参考文献
伊藤 康貴 2020 『社会運動としての「ひきこもり」当事者活動 ―自分の価値を取り戻すための集合的戦略―』 社会学評論71巻2号
内閣府 2019 『生活状況に関する調査』
那珂 元 2020  『長期ひきこもり当事者の自立支援ニーズの傾向に関する研究―電子掲示板の書き込み内容の質的内容分析を通して―』 常葉大学教育学部紀要 常葉大学教育学部
福崎 はる 2014 『「ひきこもり」当事者のニーズとソーシャルワーク : 「ひきこもり」支援の実践からの事例研究』 熊本学園大学 博士論文 
村澤 和多里 2017 『「ひきこもり」についての理解と支援の新たなる枠組みをめぐって : 心理‐社会的な視点からの探求』 北海道大学 博士論文 

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